SBイノベンチャー株式会社/RisParプロジェクト 代表 藤波英輝 氏
Scalehackは、新規事業立ち上げに伴うテストマーケティングも得意としています。今回は、SBイノベンチャー株式会社様のtoBサービス新規事業立ち上げの検証段階において、Scalehackが果たした役割とその実績を深掘りします。
求められる“レガシーシステム”のモダナイズ。本システムを使えば、人間の1/10の時間で解析も可能
まずはSBイノベンチャー株式会社様の特徴、藤波さんのお立場、および今回ご支援させていただいたサービスの内容などを教えてください。
私たちSBイノベンチャー株式会社は、ソフトバンクの100%子会社であり、ソフトバンクの社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー」の企画・運営、及び採択された「新規事業の立ち上げ」のサポートを主に担っています。
その中で、私は、第21回 ソフトバンクイノベンチャーで採択された「RisPar(リスパー)」プロジェクトを提案し、現在、その代表者として、事業化検討に取り組んでいます。
私たちはグループが得意とするIT分野のなかでも開発者、つまりはエンジニア向けのサービスを企画しました。
Javaを用いて開発された従来のシステムの分析、分解、評価が自動で行えるサービスで、複雑化・老朽化・ブラックボックス化が進んだ既存のレガシーなシステムを解析/評価することができます。旧システムを新しいシステム等に刷新する際に、エンジニアの工数削減を目的として本サービスを活用いただくことを想定しています。
2018年に経済産業省の発表した「DXレポート」によれば、2025年以降にIT人材の引退やサポート終了等に伴って、最大12兆円の経済損失が生まれる可能性があるとされており、レガシーシステムのスピーディーな刷新は日本全体にとっても喫緊の課題となっており、本製品に対する市場のニーズはあると考えています。
営業代行や営業支援のサービスは数多くあるなかで、Scalehackにご発注いただいた経緯は?
顧客開発はメンバー内でしっかりやるものの、その候補となる企業の発見に苦慮しておりました。グループ内からメンバーが集まってきてくれたのですが、開発者寄りの人員構成になっていて、営業部分はそこを専門とされている会社にお願いすることにしました。
今回の事業アイディアは、エンジニア向けツールのなかでも”レガシーシステムの評価”という限られたシーンで活躍するので、ニッチな分野の中、営業支援を発注する前の時点で、顧客が抱える課題やサービスの特徴を深く理解をしてくださる会社でないとおまかせするのは難しいと考えていました。
そのためには、素地としてのITの知識だけでなく、発注者である我々と細かいコミュニケーションが取れることが必須のポイントであり、その点を重視して複数社に話を聞いて選定した結果、単なる営業代行だけの会社では難しいと判断しましたが、ScalehackさんではITソリューションの取り扱いが多いだけでなく、グループでも自社商材を持っていることからか商材理解も早く、商材特徴だけでなくビジョンをキャッチアップいただき、かつコミュニケーション頻度が高くスピーディに動いてくださったので、すぐにお願いすることに決めました。
実際に、Scalehackに依頼いただいたのは、トライアル導入顧客の獲得までのインサイドセールス部分でしたね。
実は、サービスそのものはまだ形になっていない段階で、実際に本サービスにニーズがあるかはもちろん、我々のアイディアやプロトタイプのサービスがリアルな開発現場での使用に耐えうるか、そういったことを検証する目的で、トライアル販売を依頼することにしました。
今回依頼した営業支援は、PoC(Proof of Concept:サービスや製品に用いられるアイデアや技術が実現可能かを確認する一連の検証作業のこと)の立ち位置で、①本サービスをトライアル導入いただける可能性のある企業のリストアップ/②トライアル導入依頼をするための初回アポイントの獲得、いわゆるインサイドセールス部分をScalehackさんに依頼しました。
当然ですがリストアップ時点では、その企業が一体どのような言語を使用して開発を行っているのかはわかりません。そのためメールや電話での接触で、まず通常外部に教えることがない開発言語をヒアリングしなければならないという点が、今回の案件では最も難しかったポイントではないでしょうか。
また、Scalehackさんに入っていただいたことで、SBイノベンチャー側が当初設定していたターゲットイメージの解像度の低さがあらわになったのは、とても有益な発見でした。
当初、私たちはターゲットを「レガシーなIT企業」に定め、そのままScalehackさんにお伝えしました。しかし、端的に言えば、このターゲット設定は広すぎたのです。
たとえば、「COBOL」という50年以上前に開発された言語を現在も使用されており、今後「Java」などの比較的新しい言語に乗り換えを検討している、という企業様とのアポイントが取れたことがありました。たしかに、IT企業としての歴史も長く、「レガシー」という言葉のイメージとぴったり合致します。
ところが、弊社が今回サービスを提供する先として想定としているのは「Javaを用いて開発したシステムがすでに稼働しており、その刷新等を見越して現システムのコード分析を行いたい」という、もう少し「Java」の活用フェーズが進んだ企業。つまりは現状COBOLを使用している「レガシー企業」は、厳密にいえば本サービスが現在ターゲットとすべき企業ではありませんでした。
これはひとえに弊社が当初設計したターゲット設定に甘さ、またはファジーな部分があったということだと捉えています。「ターゲット企業の解像度が低い」という課題に早い段階で気づけたのは、Scalehackさんに依頼したからこそ見えてきたもの。この結果は、チームとしても前向きに評価しています。
Scalehackの営業支援は、満点!特にアタック後の分析に高評価
営業支援において、Scalehackの働きや、成果についてはどのように評価していらっしゃいますか。
ずばり、満点をつけたいです。
多数の企業にアタックした活動をもとに、対象企業のニーズや規模、開発環境の状況によってターゲットを分類し整理していただいたところは、大変大きな成果だと感じています。当初の依頼事に想定はしていなかったかつ、能動的にこういった動きをしていただけたのは、グループとしても新規事業の立ち上げ〜拡大領域を多数経験しているだけでなく、事業成長や急拡大を支援しているScalehackさんだからこそ出来たことだと感じております。
弊社の内部リソースだけで対応していたら、そもそも動き出しができない、動き出しが遅いことでテストセールス活動が後手に回ってしまっていたのは確実ですし、Scalehackさんの膨大なアタック量を達成するまでのスピードや、アタック量を基にした分析まではとても至りませんでした。
今後、有償でのサービス販売も近い将来やっていかなければなりませんので、そのときにはまたScalehackさんとご一緒できればと思っています。
ご担当プロジェクト、および本サービスの将来の展望を教えてください。
Scalehackさんのご活躍もあり、Web系の企業様を中心に、本サービスそのものに対するニーズは感じており、有償化にあたってポジティブな反応もいただいています。
本サービスはまだテスト段階で、現在の機能はコードの問題点を指摘するにとどまっており、システムのモダナイズ検討という限られたタイミングでの単発利用が基本です。
本サービスがリファクタリングそのものまでカバーできるとか、エンジニアがデプロイの度にコードに不備がないかをチェックするために使うような、日常の業務に必要不可欠で継続的なサービスにできないかと、チームメンバーが日々ブラッシュアップをしています。少しでもはやく本サービスを商用レベルまで進歩させ、利用者を拡大していきたいですね。
また、現在の対象言語はJavaのみですが、ひとつの会社のなかで扱う開発言語がJavaのみ、という状況はなかなかないということも、今回のアタックを通じて明確になりました。そのため、現在はJavaをつかっていないという会社様も多くいらっしゃいますし、将来的にはJava以外のPHPやC言語をはじめとする幅広い言語へ対応していきたいと思います。
このサービスの開発を継続できるよう、チームメンバー全員で一丸となって頑張ります!